#久坂部羊『オカシナ記念病院』を読む

久坂部作品。これは面白い。久坂部作品のなかでもこれは高齢者が読んだらいいと思うなあ。目から鱗の感がする。沖縄ののんびりした島の病院で無理に検査せず治療しない病院の話である。都会の病院の検査漬け・治療漬け・薬漬けに対するアンチの話。

『オカシナ記念病院』

岡品院長の親が事業で儲けて沖縄の島に最新の機器を擁して記念病院を建てた。

親の病気にたいして東京で医学を修めた院長はあらゆる手立てで治療したのだが散々の結果の末見るも無残に死んだ。これを教訓に患者が望む治療を病院の方針にする。

患者を治すことに燃える研修医新実一良が赴任してくる。検査はしない・治療はしない・延命治療はしない医師たちに反発してトラブルは起こるのだが島の人たちは生命力のままに症状がでて困ったときだけ病院にくるという状況だ。だから高齢者の末期がんで苦しんでいる患者に縮命治療と称して安楽死までしてやる。喫煙も病院内で認めているのだが東京からきた有名人が副流煙もあり病気の元になると抗議するのだが島民は命とは人生とは楽しむものでありそれで死んだら寿命と達観している島民に負ける。

そんな話がいっぱいの本。

(この病院は親の財団がお金をだしているので無理に病院経営のために検査・治療をする必要がない。医者も患者を助けるといいつつ患者を苦しめていないかと。患者もマスコミや医者たちに無意識のバイアスに毒されているのではないか。特殊な病院だが。)

☆☆☆☆

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