久坂部羊『芥川症』を読む。

久坂部作品。医学的素養と作家素養が恵まれた作家が芥川龍之介の有名な作品から「想を得て」早く言うと題名をパクッて描いた作品。芥川症というのも面白い。

『芥川症』

「病院の中」は「藪の中」のパロディだ。元気だった父親が亡くなった。医者に死因を尋ねるのだがさっぱり要領を得ない。不信ならと解剖をといわれて・。それでも・・。

「他生門」は「羅生門」から。心臓移植が必要と診断された男が周りで「救う会」ができて米国で手術を成功。余ったお金も渡されて怠惰な生活。今度は糾弾されて・・。

「耳」は「鼻」から。ホラーで大賞を得た耳フェチの作家が2作目の創作で悩んだ時、耳だけ残してすべて整形した美人と出会う。切り取った耳を題材に・・・。

「クモの意図」は「蜘蛛の糸」から。若い落語の好きな看護師がお釈迦さんが前世でいいことをしたら悪人も救うという話から自分だけは助けてほしいという患者に・・。

「極楽変」は「地獄変」から。夜中にばい菌で足を痛めた患者を診た開業医がその芸術的才能をもった我儘な男に興味を持ち。男の自分の切断した足を用いて作品を・・。

「バナナ粥」は「芋粥」から。気難しい親を介護する独身男。担当したケアマネが

患者がバナナが好きだというのでバナナ粥を作って持っていくのだが・・・。

「或利口の一生」は「或阿呆の一生」から。子供の頃から偉人伝を読んだりして医者になり、患者と同じようにガンになり手術し転移し、死ぬ時に自分の人生に満足と。

(どれも面白いがバナナ粥が一番好きかな。)

☆☆☆

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