#久坂部羊『虚栄』を読む。

久坂部作品。2015年出版の本。高齢者には厳しい本だ。ガンに関する本でありガンは2人にひとりは罹り3人にひとりは死ぬというのだから。6年でどれだけガン治療が進んだのだろうか。患者にとって嫌になるような話ばかりだがつい読み進める本。

『虚栄』

時の首相が自分の家系はガン家系ということで高額の予算をつけてガン撲滅のプロジェクトを立ち上げる。外科・内科・放射線科・免疫療法科の国内の大病院の医者を集めて発足させるのだが予算獲得のための陰謀術数・足の引っ張り合いに終始する。外科は手術でないとガンは治らない。内科は抗がん剤放射線科は粒子線など・免疫科は副作用がない療法をそれぞれがこれからのガン対策の主導権を握ろうとする。

そんな中で「真ガン・偽ガン」説を説くが学者が。ガンは発見したときに真ガンはすでに細胞にガンが行きわたっているから早期にどうやっても死ぬ。発見の時にガンが拡大しなければ偽ガンだからほっておいても死ぬことはない。したがってガンになったら何もしないで運命に任せた人生をおくるほうがいい。ガンで死んだという人はしなくてもいい治療をしたために死んだ可能性があり、ガンが治ったという人は何もしなくても治った人だという説である。この説を唱えた岸上医師もガンに罹るのだが頑固に治療しないで人生を生きる。いずれにしろこの当時はガンについては分からないことがほとんどなのだが数年が過ぎてどれほど進歩したのだろうか。

(患者にとって当てにならない希望と辛いけど本当のこととどちらがいいですかと問いかける。ガンの実態は患者がガンと診断されたらどうしてほしいのか・・・・)

☆☆☆

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