久坂部羊作品。2003年に出版という。「院長選挙」「嗤う名医」などを読んでるがこれは強烈なテーマで実話のようなフィクションなのだろうか。廃用身とは脳梗塞などで手足が動かなくなってリハビリしても元に戻らなくなった手足などのことをいうらしい。
若き整形外科医が介護施設の医者になったのを機会になんとか老人たちが元気になるように負担になっている手足を切断することを決断する。是か否か。
前半は医者漆原医師の話。後半は出版社の補足で本は成り立っている。
『廃用身』
漆原医師はデイサービスにくる高齢者の中で豪邸に住んでいながら息子も妻も虐待と思われる扱い、体重90Kで床ずれが激しく手足が脳梗塞で麻痺している患者。
医師は手足の切断を勧める。患者は納得して片腕と両足を切断する。介護は楽になり、床ずれは回復し精神的にも安定したのだが・・・・。
数年後彼は妻と息子を虐待に対する思いが強くなって殺し、自分も自殺してしまう。
13例の手や足など患者の同意を得てAケアという名の下に症例を積み上げるのだがある時からマスコミの大バッシングを受ける。ついには医師は自殺し後気丈に対応してきた妻もまた自殺するというショッキングな結末を迎える。麻痺がすすみリハビリの効果がなく棒のように身体についた手足は排除したほうがいいのか外見からも人間として手足は残したほうがいいのか・・・。いずれ高齢者が溢れ介護の現場は危機になると思った漆原医師。介護現場の医師としてしか発想のできない切断というケアは是か否か。
(とにかく衝撃的だ。普通の人なら過激すぎるからもっとなんとかならないかと思うけれど切断によって別な部分が・精神的な面が活性化することもあるらしい・・・。20年経った現在どう考えられているのだろう。)
☆☆☆