中村文則『遮光』を読む。

中村文則作品。2005年に野間文芸新人賞受賞作品。作家は芥川賞も受賞。

作家の作品を読むのは2作目。愛する人の突然の死を受け入れられない人の混乱の話。

『遮光』

「私」は風俗の女美紀と親しくなるのだが彼女はよく笑う純な女性なのだがあるとき

旅行先で突然の交通事故で亡くなってしまう。病院に駆けつけるのだが彼女の死を受け入れられず隙をみて縫って止められた小指を持ち帰って瓶につめて彼女と思って持ち歩く。死を受け入れられない「私」は友人にはアメリカに留学したと言い、自分も留学していると思い込もうとする。それが昂じてすべてのことに想像と現実が錯綜した生活をするようになる。女友達の所に行って美紀が死んだことを打ち明け、瓶を見せている時彼女の彼氏が訪ねてくる。瓶を侮辱したことで彼氏をとことん殴りつけて殺してしまう。最後は「以前美紀によくそうしたように微かに濡れた美紀の指をそのまま口のなかに含んだ」遮光という題は現実を遮ろうとする光に困惑する気持ちを表したのか。

☆☆☆

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