西加奈子『おまじない』を読む。

西加奈子作品。8篇の小編を収録した短編集。短編は構成などがキチンと考えられた中身の詰まった作品が多いから楽しい。おまじないというタイトルは面白いけれど作品との関係ではどうなのか分からなかった。

『おまじない』

「燃やす」「いちご」「孫係」「あねご」「オーロラ」「マタニティ」「ドブロブニク」「ドラゴン・スープレックス」の8篇。

読んでて楽しかったのは「孫係」だ。地方にいる大学教授の祖父が東京に出てきてすみれちゃんの家に1か月寄宿することに。母が父のために最大限の孝行をしたかったのだろう。母が一生懸命になればなるほどすみれちゃんも祖父も窮屈に。

祖父はすみれちゃんに言う。自分も窮屈なこと、でも係だと思えば気持ちが楽になると。、祖父とすみれちゃんは祖父係と孫係を演じることで楽しい生活が送れたという話。「あねご」も面白い。美人でもなく母子家庭の私は17歳からコンパなどではお酒を飲んで自虐なことをいい・行動すると笑いものにされて周りは喜んで「あねご」という称号をつけてくれた。「あねご」らしい奔放に見える生活をする女の子の話。

「マタニティ」は30歳を越えた女性が彼氏ができて同棲して妊娠するのだがネガティブな性格でこの妊娠が結婚するための計画的なものではないかと彼氏に思われないかとか同僚たちにどう説明したらいいかとか悩む女性の話だ。

(短編は計算されて作られる作品が多いからなるほどとか感動とかがしやすいなあ。)

☆☆☆

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