須賀しのぶ作品。結構意欲的にテーマを設定して描く本が多いようだ。
前に読んだ「また桜の国で」同様に会津のこころが一本筋を通している本だ。
『紺碧の果てを見よ』
会津藩の先祖を持つ会澤鷹志は浦賀で軍艦などをつくる造船で働く父の下で妹雪子との二人兄妹として育つ。時は世界大戦に入る前の大陸に進出で賑やかな時期だ。
学力優秀で江田島兵学校を望むも大震災での父のケガで断念かと思われたが軍人である
叔父の養子となることで兵学校へ。「ニイタカヤマノボレ」の米国奇襲による戦争拡大からしばし戦勝で沸き立つも南方の敗戦から次第に部下たち多数を失い懐疑的に。
終戦前には物資輸送の護衛につくも戦うよりも部下たちをひとりも死なせないことに全集中する話。
(江田島や海軍の戦争の様子や妹雪子の生き方や妻早苗との交流や父と叔父の思考の違いなど450頁の長編は読みごたえがある。江田島での親友皆川の出征まえの若き死も感動させる。)
☆☆☆