荻原浩『押し入れのちよ』を読む。

荻原浩作品。久しぶりに読む。図書館の荻原本はほとんど読んだと思っていたのだが。

9編の短編が収録されてるが怖い話ばっかりだ。読める。

『押し入れのちよ』

「お母さまのロシアのスープ」は日本軍の細菌研究の父とロシア人の母の間に生まれた双子の女の子。父はいない。家具などを売り渡して暮らしてるがついに身体も・・。そんな母の姿を障がいのある双子は見ていて子供目線で描かれる。

「コール」は大学で男の親友二人の部活に女子が入部。二人は好きになりどちらが告白するかトランプで。抜け駆けたほうと結婚するのだがガンに・・・・。

「押し入れのちよ」はお金のない男が安アパートに入居するのだがそこには夜な夜な女の子が現れた。占いが得意な面白い幽霊だった。

「老猫」は叔父が亡くなってその家を相続して住むようになった3人家族。叔父が飼っていた老猫がついていた。家族が老猫にコントロールされていく話。

「殺意のレシピ」は愛人のいる夫が妻を毒で殺そうとするのだが妻もまた夫を殺そうとレシピで毒を。そんな二人の思惑の中で食事が始まる…。

「介護の鬼」は嫁がボケた舅の介護をするのだがかっての姑への恨みや姑の介護の恨みを舅にひどい仕打ちをするのだがある時ボケていたと思っていた舅が逆襲・・・・。

「予期せぬ訪問者」は愛人の部屋で愛人を灰皿で殴り殺してしまった。風呂場でバラバラにして始末しようというところに訪問者が。セールスを騙った泥棒だったのだが・。

「木下闇」は小さい頃母の実家でかくれんぼ中に妹が行方不明に。社会人になって立ち寄った実家の大きなクスノキに登ると木の窪みに妹のペンダントが・・・。

「しんちゃんの自転車」はしんちゃんという悪童が夜中に自転車で誘いに来る。オタマ池の噂を確かめようと。二人は池に落ちてしんちゃんが亡くなって霊になって誘いに。

(どの話もありそうで「介護・・」はやさしく介護をと思うし、「予期せぬ・・」は札幌の事件を思わせた。「押し入れ・・」は恐ろしいが笑える。)

☆☆☆