乾ルカ作品。先日「プロメテウスの涙」読んだのだが北海道出身の作家だから
もう一冊に挑戦してみた。今回の本は2部構成で6編の短編が収録。
『夏光』は戦争で子供ひとりで疎開した哲彦。学校で悪童にいじめられながらも
顔に黒い痣があり父と二人暮らしの喬史との友情が描かれる。喬史の目は青白く
不思議な目をしていた。疎開から逃げて母の元に向けてふたりは汽車に乗る・・。
「夜鷹の朝」は北大生石黒は身体を壊して教授の知り合いの立派な家を紹介されて
療養するのだがそこの婦人はかって出産後まもなく娘さんを亡くしていた。
娘さんと思われる女の子に出会う。女の子は口が鳥の口ばしの形で夜鷹の鳴き声
をしているのだがその霊と思われる女の子との交流が描かれる。
夫人は「キュッ!キュッ」となく夜鷹の鳴き声に悩まされている。
「百焔」ももほむらと読む。百焔の厄返しといわれる願掛けの話。
冴えない姉と美人の妹の姉妹があまり妹ばかりを親が愛情を注ぐものだから
姉が妹を懲らしめようと友に聞いた蝋燭を廃坑に毎日ともしに行く話。
しかし最終日に自分の家が火事になって妹が大やけどをする・・・・・・。
「は」は友人から部屋でご馳走するからという誘いで出かけるのだが
そこで出されたものは恐ろしい金魚の話であり金魚の刺身であり金魚の鍋・・・。
「Out of This World」」はマコト・タク・アキヒコの3人の友情の話。
中心はタク君。手品師の父と二人で住んでいて父を尊敬してるのだが父は
なにかあるとタクに暴力をふるい近所の評判も悪い。タクは友達に
手品を披露して喜ばれていたのだが・・・。
「風、檸檬、冬の終わり」はガンで明日とも知れぬ初枝と介護するあや子の
田舎住まいのひとときの話。あや子はかって初枝によって生かされていた。
☆☆☆