伊吹有喜『犬のいた季節』を読む。

伊吹有喜作品。初めて読む作家。1960年三重県生まれ・中央大法卒。

迷子犬を学校で飼うことになってその犬を中心にした青春・家族物語。誰が読んでも「青春にこんなことがあったなあ。」とか「こんな青春をおくりかったなあ。」とかきっと思える小説。清らかな文章で高齢の自分が読んでも心洗われる小説。

『犬のいた季節』

迷い犬を拾った高校生たちが学校で飼うことを了承してもらいコーシロウ会と名付けて世話することに。美術部で絵がうまい光司郎。パン屋の娘で美人の優花はコーシロウを

育てる係に名を連ねている。お互いに意識をしているのだが家庭環境の違いもありたった一度だけ夜景を見に行く。犬の飼育日記を代々後輩たちに受け渡していくのだが絵を上手い光司郎が最初に犬の絵を描いて受け継がれていく。

次の後輩は頭のいい相羽と堀田がひょんなことからF1が趣味が一致しているのが分かって鈴鹿に二人で自転車で3日間見に行きアイルトン・セナに夢中になる話。

その後輩の奈津子の家のこと。祖母が神戸に住んでいて地震に逢い家が破壊して奈津子の家で引き取ることに。受験期でもあり家も小さいこともあり部屋を明け渡すことで家族でもめる。祖母は謝ってばかり。そんななかで奈津子の思いは揺れる。

次の後輩は青山詩乃。怪しげなスナックを経営する母娘だ。詩乃は美人で高校生なのに男から援助を受けるような子。詩乃にこころを寄せるバンドに夢中の男の子。

最初にコーシローを飼いだした頃の卒業生優花が教師になって高校に戻ってきた。

小さい頃パン屋のお姉さんだった優花に恋をした高校になった中原。お互いに祖母や祖父が入院していろいろ悩んでいる時に話をすることで癒される。

(40代になり海外で画家として有名になった光司郎。母校の100周年に画を寄付することで祝賀会に参列することに。二人はそこで出会い、お互いが離婚した境遇を知り恩師に頼んで二次会を抜け出して・・・・。二人は大人になった。やったー!)

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