久坂部羊『祝葬』を読む。

久坂部羊作品。「院長選挙」に続いて読む2作目。大阪出身で医者でもある作家ならではの作品。長生きはいいことかどうかを考えさせられる。

『祝葬』

信州の土岐一族という代々医者になった人たちの人生が描かれる。

土岐佑介は医者だが長生きすることには懐疑的であった。代々の身内が50代で亡くなっていてDNAもそうなっているのだろうと思っていた。親友には長生きしないから死んだらお祝いをというようなことさえ言っていた。37歳で死んで警察は自殺と判断したようだが親友が調べると実は妻響子が殺していた。妻響子は医療ミスを恨ん焼身自殺した祖母をもつ子供だった。佑介の祖父伊織は妻真令子を愛していたが伊織の従妹の伊織への恋愛感情から山登りで滑落させられて50代で死ぬ。伊織の仕事熱心さが招いた死かも。

曾祖父棋一郎は土岐病院を興した医者だが肝硬変で死んだのだが医に命を懸けたような人で医者の指導に従わない患者には厳しいことをいうことで後世にいろいろ噂のある医者であったという。

人間のあくなき長生き願望と医療の進歩と医者のありかたが描かれる。ガンも薬で治る時代になりほとんどの病気が克服され寿命も100歳を越える時代が来た時人間はどうなるのかが最後に描かれる。

(長生きはいいことなのか。人間はいずれみんな死ぬということ。自分も日々この問題に悩まされる。)

☆☆☆

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