犬養六岐作品。初めて読む作家。1964年大阪生まれ、大阪教育大卒。公務員を経て作家。読んでいて面白い作品。テンポもいい。長屋に引っ越してきた父子。頭の少し足りないが馬鹿正直な父と12歳の賢い真っ当な子。長屋で嫌われながらも一途に生きる話。表紙の絵も挿絵も好きだなあ。8話の出来事が描かれる。
『騙し絵』
長屋に引っ越してきた曰くありげな父子。弁蔵と正吉。あまりにマイペースで生活する父子に長屋連中の風当たりは強く。当然正吉にも子供たちに付き合わせないようにするのだが向かいの信太郎少年は正吉の良さを見抜いて母に隠れながら付き合うようになる。1話(ふたつの顔)では鍋を家に隠して泥棒の疑いを正吉親子にかける話。
2話(四つの眼)では弁蔵が一緒にはたらく弥一が腰が痛くて大八車がきけないというと親身に抱えて家まで運ぶ話。100文のくすねていたことがばれるが・・。
3話(三つの口)は正吉が汚れてた白い猫を親身に世話する話で長屋の眼は御店の可愛がってた猫と狙いをつけて寄ってくるが死んだらそっぽを向く。
4話(十の約束)は弁蔵は女郎に入れあげて身請けして結婚して正吉をもうけるのだがそれもからかいの元になる。女郎は10の約束して一緒になった守ったのは3つ。
5話(七つの嘘)近所の子が疱瘡に罹って誰も寄り付かないのに弁蔵は自分の子がこれで治ったとと信じて犬のションベンを持って行ってさらに険悪になる話。
6話(千の笑い)は悪人三次郎に言いくるめられて境内で父が蛸踊りをして人を集めてその隙に空き巣に入る話。
7話(十二の扉)は蛸踊りで悪くないのに三次郎に刺される。見舞いに近所の人が疱瘡の時の逆恨みで魚の血に糞を混ぜたものを持ってくる話。
8話(一つの心)は三次郎が大店の嫁に収まっていた母の金を目当てに正吉を誘拐する話で弁蔵は元嫁を探して会いに行く。父は守ってくれた3つの約束を大事にし母はしなかった7つの約束に拘っていた。
(世の中は騙し絵のようなものといいたいのだろう。善と悪。親切と悪意。などなど)
☆☆☆☆