櫛木理宇『寄居虫女』を読む

櫛木理宇作品。この本は(ヤドカリオンナ)と読む。恐ろしい本だ。夫婦や家族の心の隙間に手練手管で入り込んで家を乗っ取るという話。あるはずがないと思えるがおれおれ詐欺で毎日何百万もなん千万も詐欺されている現実をみると無いこともないかと思えてくる。人の心を言葉巧みに操られないように・・・・。

『寄居虫女』(ヤドカリオンナ)

皆川留美子の家庭は忙し気で帰りも遅い夫と大学生の琴美と次女美海と三女亜由美とやっと生まれた長男智未。生きがいだった長男が事故で死んだ。落ち込んでいた時に父にDVされたという男の子が家に。母はその子に夢中に。そして母葉月が離婚調停中ということで言葉巧みに居座る。そしてその弟圭介というのも家に。母は男の子に夢中で手放したくなくて家の中に入れてしまったのだ。次に亜由美を脅しすかして自由にし、次に圭介が琴美を陥落し、ついには美海までの友達から隔離してしまう。ついには琴美と亜由美と仲たがいさせ喧嘩になって亜由美が頭をぶっつけて死んでしまう。

ヤドカリオンナに家庭を破壊された充彦という青年が弟を探しそんな女が近くにいるという情報を得て調査を開始していた。そしてついに美海たちの家に突入・・・・。

聞くと留美子たちの家庭を破壊していたのは葉月に破壊されて生き残った弟や連れ去られて手口を覚えた女たちであった・・・・。

(家族を引き離し、信頼させ、話を聞くふりして寝かせず、理性をはぎ取る。そうしたら誰もが思い通りになっていった。こんな手口でやられたら怖いなあ。誰もやられそう。)

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