仁志耕一郎『無名の虎』を読む。

仁志作品。初めて読む作家。1955年・富山県生まれ。40代半ばで小説家に。

武士で挫折した男と武士に向かない男が川除(かわよけ)奉行として治水事業に。

『無名の虎』

槍で名を馳せたが戦場で肘の腱をやられて失意で第2の人生に向かう男軍兵衛と武士として出世を望みながら軍には向かないと自覚して川除奉行に願い出た男新左衛門。ともに博学の師に学び何度も氾濫して苦しむ民たちのために御勅使川と笛吹川とそれぞれの奉行で励むのだが・・。軍兵衛は軍で男衆のいない中で女衆を活用して師の教えに忠実に取り組む。義父に嫁をとれと強要されて軍兵衛は独身で女衆のリーダー格の「ゑん」と結婚して子供ももうけるのだが大丈夫と思った治水が破壊されて子供・父を失い自分も大けがをして自信を失い、藩主にお役目を降りることを願い出るのだが藩主に説得されてもう一度立ち上がってなんとか治水に成功する話。

(甲斐の藩主晴信は甲斐の虎と言われたが治水に頑張ってくれた民たちを無名の虎として軍兵衛は民たちに感謝する。軍兵衛と新左衛門の嫁とりのいきさつが面白い。)

☆☆☆