朝井リョウ『どうしても生きてる』を読む

朝井リョウ作品。34歳の若き書き手。これで読むのは4冊目かなあ。「スター」とか。6編の人間たちの生きてる話。なかでも「籤」は男として身につまされたなあ。

こんな研ぎ澄まされた作家の人たちは何を息抜きに生きてるんだろうなあ。

『どうしても生きてる』

「健やかな論理」は9歳年上の佑季子と同棲中の恭平。佑季子ははっきりした理由もなく離婚歴がある。母から時々様子見の電話がある。危うさのなかで生きてる二人。

「流転」は豊川と瀬古は漫画の制作にリアル・熱・切実さ・本音・嘘のなさ。そんな意思があれば売れると信じて生きてきたのに・・・。瀬古は成功も豊川は・・・。

「7分24秒目へ」は派遣社員の佳恵が退職の時ラーメン屋に寄った。なぜか涙も。

ユーチューバーのバカ騒ぎを見ていた気持ちが依里子にもやっと理解が・・。

「風が吹いたとて」はクリーニング屋に勤める由布子には夫と高校生娘と中学生の男の子といる。夫は出世コースという検査の部署に異動になって上層部から不正をするようにいわれて壊れていく・・・・。生きるためにはどうすれば・・。

「そんなの痛いに決まってる」は会社の上司で仕事もできて面倒見のよく信頼していた人が辞めさせられたと友達から聞かされる。良大は転職で苦しんでるなかで妻の美嘉は仕事もでき収入もよくそのギャップに男として耐えられず知らぬ女とのセックスにのめり込んでいく。

「籤」は大きなホールの主任を任されている鍋倉みのり。妊娠している。夫は能力もあり優しい。初の妊娠の不安にさいなまれながら仕事に励んでいる。見かねた夫が出生前診断を勧めてきた。不安はとれることもなく診断結果が陽性とでた時の夫は・・。

(理性的らしく確率で大丈夫と言っていた夫はごめんと謝るばかり・・。耐えられないと別な女に走る・・・。男は弱いなあ。意気地がないなあ。プライドばっかりだ。)

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