池永陽『花淫れ』を読む。

池永作品。池永作品を読むのは5・6冊目か。「花みだれ」と読む。この本は強烈な男と女の性を語る。小題のタイトルも凄い。4編の短編が収録されてるの。

『花淫れ』

「胎内浪漫 栓男の懺悔」は写真店に勤めた若い男のところに2人の子供を連れた妊娠中の女性が写真を撮りに来る。その女性に夢中になると女性は時々羊水がもれないように栓をしに来てほしいと頼む。夢中になるのだが女性が自殺してからもそんな女性を探し歩く。

「狂い箱 箱男の狂気」は中学2年の時祖父の田舎に遊びに行ってヒマワリ畑の美しさと匂いに圧倒されるのだがそこで美しい女性に出会う。彼女は資産家のお嬢さんで精神的にオカシイから近寄るなといわれていたのだが一目見て夢中になり恋をする。愛の手ほどきを受けて結婚したかったら10年後に来てほしいと。10年後に行くと女性は1年前に死んでいて家政婦に英国製の立派な鞄を託される。中には女性の上半身が・・。

愛する女性の入った鞄を持って全国を彷徨う。

「かたわれ心中 待つ女の涙」は大きな商売をしている資産家のお嬢さんが温泉に女中を連れて保養に来ていた時に片腕のないやくざな男に夢中になる。離れられない関係も親の知れるところとなって家に戻され監禁状態に。それでも会いたくて会えないなら同じ時間に心中をと薬を飲むのだが・・・。コスモスの咲き乱れる鉱山の社宅に生きているか不明のやくざな男を待つ。男は来た。夢中に求め合った先に自分も片腕になろうと。

「聖女綺譚 鍵男の純情」は中学3年生の時に転校してきた女性に恋をする。また転校するという時にブラウスを脱いで口づけをし裸を見せる。背中には唐獅子の入れ墨が。

父は流れ者の彫り師だった。あなたは私の鍵男・牡丹がないと生きられないと謎を残して去っていった。男は大学も中退して彼女を全国を探し彷徨う。牡丹といえば日光だろうと行くと彼女は40歳ほどにもなっていたが美しさは変わっていなかった。ふたりは激しく燃えた。鍵男とはぴったり性があった人だという・・・・・・。

(男と女の激しい・異常とも思える性愛が描かれる。唐獅子牡丹とは映画もあったっけ)

☆☆☆

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