桐野夏生『デンジャラス』を読む

桐野夏生作品。1951年金沢生まれ、成蹊大卒。直木賞作家。

文豪谷崎純一郎を取り巻く女性たち。作家谷崎が女性たちから栄養をもらいながら作品を描き続け、書くことによって作品によって成長していく。作品の中の主人公と現実生活の間を行き来して成長をつづけ文豪と呼ばれる作家になった。

『デンジャラス』

谷崎の作品の「細雪」は雪子という登場人物が中心。雪子は谷崎の3番目の妻松子の妹の重子がモデルである。重子は田辺家という名家の息子だが家を潰してしまった男と結婚したのだがほとんどを松子と一緒に住んでることが多かった。谷崎からも重子は「好きだ」と言われたこともある。「細雪」のモデルにされたことで重子もまたそれが得意気でもあった。谷崎家は松子・重子姉妹・松子の連れ子美恵子・重子の子の清一とその嫁千萬子や女中を6・7人を潤一郎が右腕一本で養い君臨していた。

細雪」の後谷崎は才能と若さのある清一の嫁千萬子に興味を持つようになり晩年はずっと清一が出張続きや不仲が進んだこともあり手紙のやり取りをし、清一との間にできた娘「のゆり」を孫のように可愛がり、千萬子のねだるままに金品を与え続けた・・。

「瘋癲老人日記」は千萬子との手紙のやりとりから生まれた作品だという。

当然これまでは主役だった松子・重子は身が危ういと悩み、画策をいろいろするようになる。谷崎は最後は重子に印籠を渡され79歳で・・・・。

(女性を好きになり作品が生まれる。そして想像が生まれ創造していく。谷崎という文豪がそうして生まれていった。)

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