秋吉理香子『月夜行路』を読む。

秋吉理香子作品。兵庫生まれ、早稲田文学部卒。初めて読む作家。主人公涼子が夫のことで悩んでたまたま寄ったクラブのママと話があい、なぜか二人で大阪に涼子のかっての恋人を訪ねるという話。

『月夜行路』

涼子は二人の息子と娘の母であり、夫は本の編集者で日々帰りが遅い。夫の浮気と感じた涼子はクラブに出かけて行く。そこのママは小説も書くといい、物知りであり、カンも働く。飲んで愚痴を言ってるうちに二人でかっての恋人和人を探そうという話になり、ママは文学の宝庫ともいえる大阪を散策できると二人は旅立つ。

佐藤和人としか住所も知らない人を探そうというのである。志賀直哉の暗夜行路を序文に近松曽根崎心中があったところで凍死した二人の事件にぶつかってママの推理で解決し、谷崎の「春琴抄」の縁の地では盾の盗難事件にぶつかり推理を働かせて解決し、江戸川乱歩の「黒蜥蜴」の地で殺人事件を解決する。

ママは男だったのを整形して女性になった作家で実は涼子の夫が担当の作家だった。結局涼子を連れての取材旅行になって短編「月夜行路」を完成させた・・・・。

(生きる事はその人自身の物語を紡ぐこと。人生は物語で誰もが主人公。)

☆☆☆