梶よう子『ふくろう』を読む。

梶よう子作品。時代ものを読むと時間がゆっくり過ぎるようで安心する。現在も問題となる「いじめ」が江戸時代の書院番に勤めることになった伴鍋次郎の父松平外記の苦しみを通して描かれる。頭が疲れたら時代物を読むようにしている。

『ふくろう』

題は外記が根付を彫るのが趣味で我が子のために梟の根付を「不・苦労」の思いを込めて「福籠」の思いを込めて持たせたことに由来する。

鍋次郎は両親から慈しんで育てられ道場主の高萩惣吾の娘八千代と結婚して幸せな生活を送っているのだがある時に自分の出生に疑問を持つ。父外記は書院番に出仕した時にみんなからいじめに逢い家族までも悪くいわれついに城内で刀を抜き5人を殺傷する事件を起こして自分は自害する。まだ幼かった次男だった鍋次郎の将来を思い,養子に出して養子先では愛情一杯に育てられたのだが・・・・。義父にすべての真実を聞かされても父の無念に思いを馳せて仇をと思うのだが家族への思いとの葛藤に克ち、生きてる父の同僚を討とうとするのだが・・・・・。

(いじめの痛みは受けたものしか分からない。身体の傷・心の傷をいじめにあったものは受ける。たとえそれがいじめる側にとっては遊びであっても・・・。)

☆☆☆