木下昌輝『宇喜多の捨て嫁』を読む。

木下作品。「金剛の塔」に続いて2作目。前作は五重塔を建てる話だったけれど今回の本は乱世の時代の宇喜多直家の謀殺で家存続にかける生き方と4人の姫たちをも謀殺に利用する生き方が描かれる。「仕物」といったらしい。うーーーん。今一かなあ。

『宇喜多の捨て嫁』

宇喜多家の当主宇喜多直家は浦上家の重臣。「初」「楓」「小梅」を嫁にだすがいずれの家をも謀殺し娘たちも殉死か錯乱で悲劇が。4番目の姫「於葉」が後藤家の勝基の縁談が調う。於葉は武芸達者で悲劇の姉たちと同じにはならぬともし宇喜多家と後藤家が争う場合は父に立ち向かうといって嫁ぐ。直家が姫たちも家のためには利用するということで「捨て嫁」と噂した。婚儀の宴の最中に後藤家の城に襲撃が・・・・・。

「無想の抜刀術」は直家にも八郎と呼ばれる頃母とともに城で母の端女のような扱いで生活する日々があった。無想の抜刀術の才能がある者が世を支配するといわれる時代に八郎はその技を身に着けていた。戦場で得た首が父を殺した武者であることを知った母は八郎に毒を飲ませるのだが八郎は刀で母の腹に・・・・。その時の傷で直家は傷の化膿でずっと苦しむことになる。

「貝合わせ」は武家の女の遊びのひとつに貝合わせという遊びがある。浦上家も兄弟で争っていた。八郎は義父をも殺して功名を上げるのだが主君の仕打ちはひどかった。それ以来・・・。

「ぐひんの鼻」はぐひんとは天狗。天狗のような断崖で主君は直家を試す話。

「松之丞の一太刀」は直家の後妻が男の子を生んだ。浦上家の子松之丞を宇喜多家に養子に入れて攪乱させようとしていたのだが‥。直家を殺そうとするも・・・。

「五逆の鼓」は浦上家に仕える父は家老だが能力はなく鼓だけは知る人は知る名人だった。その子源五郎は家老職に見合う能力をつけようと鼓に軽蔑しているのだが父に才能があるといわれて父の死後・・・・。

(争いをせずに謀殺が主で世を渡った直家は一面では民にとっては良かったという。)

☆☆☆