青山文平『やっと訪れた春に』を読む。

青山文平作品。青山氏は時代物を描く作家として好きな作家の一人である。

淡々とした文章に優しさが詰まっている。

『やっと訪れた春に』

橋倉藩は第4代藩主が武と聡明さで門閥を一掃して藩の礎を築き藩の成長と安定を築いたとして神社に神として崇められている。本家と別家で交互に藩主を務める仕組みで現藩主と次藩主の近習目付として藩を動かしてきた長沢圭史と団藤匠は4代当主の粛正に関わる功労者鉢花衆の末裔という由緒ある家に生まれた。もう今でいう定年の歳になりやっと重職から解放されて春になったと圭史は隠居願いが認められ、匠も隠居願い直前だった。そんな時分家での現藩主が本家に藩主を返して絶家することで藩を安定させると決めた折に事件が。藩主が暗殺された。近習目付の匠は勿論圭史も何故・誰が暗殺をと思いを巡らす。藩主は温厚で武を殺し文人藩主として知られた温厚な藩主だった。

もしかしたら藩の過去の歴史の中に犯人がいるのではと探すうちに匠もまた殺される。

圭史が思い当たるのは藩の歴史のなかで藩を築いた4代の時に重要された匠と圭史の祖先の他にもう一人重用された名も知らぬ人がいたことを。なんとそれは圭史と匠が近習目付として仕事のためにいつも利用していたうどん屋の主人が。祖先は重用された間者だった・・・。生きた証のためにうどん屋嘉助は心情を吐露して・・・・・・。

(やっと定年になって春が訪れ先行きに鶯を見たと思った先に事件が・・・・・)

☆☆☆