砂原浩太朗『高瀬庄左衛門御留書』を読む。

砂原作品。初めての作家。神戸出身。1969年生。早稲田大文学部卒業。出版社から編集・校正の道へ。そして小説も。柔らかい絵を見るような文章で好きだなあ。こんな文を書けたらいいなあ。自然の鳥や草花を散らしてきれいだ。

『高瀬庄左衛門御留書』(たかせしょうざえもんおとどめがき)

庄左衛門は若い頃、道場に通い二人の切磋琢磨する相手がいた。堅吾・愼造だ。道場の娘の婿を目指して争って堅吾が射止めた。庄左衛門は高瀬家に養子に入り義父の郡方の役職につき誠実に村を雇人余吾平を伴って回って村人の信頼を得ていた。啓一郎という子もできたが妻は亡くなった。啓一郎は志穂という嫁を貰って順調と思われたが村周りの最中に崖から落ちて死んでしまう。志穂は高瀬家に残りたいというが許されず絵を趣味にしていた庄左衛門に師事したいと弟とともに通う。志穂の絵の才能は秀でていた。

弦之助という若者がいた。啓一郎と秀才を争った相手だ。一人しか選ばれない塾に留学して藩の助教をする身であるが目付の次男だが妾の子で苦労した若者。庄左衛門と弦之助が村を訪れた折、一揆が起こりその首謀のひとりはかっての仲間愼造だった。剣をとられ庄屋に捕らわれる。なんとか逃れた時、心配して待っていたのは志穂だった。

志穂は嫁にも行かず庄左衛門と絵を描くことに満足していたのだが人の噂もあり藩主の参勤交代の側目として江戸の行列に加わる・・・・・・・。

(庄左衛門と志穂の淡い交流や妾の子弦之助への正妻の仕打ちの中で母に会う様子など

庄左衛門と弦之助との交流など平易な文で語られるのがいい。)

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