#久坂部羊『老乱』を読む。

久坂部羊作品。医療関係者でもある作家が書いた高齢者が読むには恐ろしい本。高齢者で認知症に罹るかもしれないと思ってる人は4人に3人だそうだがこれは認知症の話。

『老乱』

78歳の妻に先立たれて子供に世話はかけないと一人暮らしをしている幸造。息子夫婦は車の事故があったらと心配して検査をするようにいうのだが車の免許は返したくない。電動自転車も買ってやるのだが・・。本人は子供に面倒をかけられないと漢字の書き取りをしたり日記をつけたり運動したり頑張っているのだがそうこうするうちに認知症に。息子夫婦はいろんな話を聞いて心配するのだが心配をすればするほど本人は自分はだめな人間として悩みいらいらし反抗する。息子夫婦は有料老人ホームに家を売って入所させるがいろいろトラブルを起こす。父のためになんとかしたいと思えば思うほど空回りしていく。和気先生に相談すると認知症は直らなく進行させないようにしなくてはいけない。認知症に上手につきあうしかなく心配するのではなく育ててくれた恩返しで成功した例を教えられる。父の大切な家を売り施設に入れたことが悪化させたと反省して育ててくれた恩返しとして父の介護に愛情をもって接し子供の独立の機会に同居するという話。

(まさに年寄り笑うな行く道じゃ。そんな言葉もある。認知症介護で一番の問題は家族が認知症を治したいと思うこと。免許返納も視野にいれる時期。身につまされる。)

☆☆☆

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