本城雅人作品。初めて読む作家。1965年生・神奈川県出身・明治学院大経済卒・スポーツ記者からの出発から作家も。生体肝移植や脳死移植について鬼塚という患者に寄り添う医者を通して描かれる。「移植というのは命という炎を植えるもの、生体移植は種火を移すようなもの、脳死移植のように消えてしまいそうな残り火を移すこと・・」
『黙約のメス』
肝臓・胆道・膵臓部門の第一人者梅原医師の弟子である鬼塚医師は厳しい教えを実践して自分にも他人にも厳しい医師であった。派遣会社を大きくして病院を買収して理事長に収まった繁田理事長に乞われて外科部長となり積極的に脳死移植・生体移植・海外からの患者への移植などを進める。順調と思われたがかって梅原医師の介添えでついた手術で術後亡くなった親友への思いで恨んで調査していた週刊誌記者に目をつけられる。
また移植の順番が少年の方が先になって地方新聞に元気な姿が取り上げられ後になった老人が術後亡くなったこともあり週刊誌記者はいろいろと詮索する。ついには海外から受けた移植患者の移植で義理の妹とされた人にドナーの資格がなく、臓器移植に関わったのではないかと疑われ厚生省などから検査が入り・・・・・・。
(厚生省の技官は元鬼塚と一緒に働いて好意をもった元同僚、移植のコーディネイターは元妻の妹、その他病院のいろいろな人間関係も絡んで読ませる。)
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