西加奈子『 i アイ』を読む。

西加奈子作品。「漁港の肉子ちゃん」「まく子」など題名もユニークだが内容も面白い。「この世界にアイは存在しません」という天声に悩まさせる女の子が「世界にアイは存在する」と思えるまでの話が描かれる。主人公はアイという女の子だ。

『iアイ』

アメリカ人の父と日本の母にシリアから養子としてもらわれたアイは繊細で聡明な女の子。生きていることに負い目を感じ、裕福な生活ができることに負い目を感じる子。

なぜならシリアという内戦などでたくさんの死者の出る国で選ばれて裕福な米国で幸せな養子となって暮らすようになったから。日本に来てミナという老舗乾物屋の女の子と親友になったが彼女は連れ子の兄がいるが彼女に婿をもらって家業を継ぐよう強制されてる娘。しかも彼女は同性愛に目覚めた女の子であった。ミナは米国に渡り何度か同棲を繰り返した後かってのアイの初恋のミュージシャンと成り行きで性交し妊娠してしまう。そのころアイは結婚して子供がほしいのだができず不妊治療でやっとできたのに流産。アイの失意のなかでミナが妊娠し中絶すると告げられ二人の関係は危機になるのだがアイは夫と米国に渡りミナに会うとミナは産むことを決心したところだった・・・。

そんななかで「この世界にアイは存在する」と確信するのだった・・・・。

(世界に戦争などがあり死ぬ人や苦しむ人がいるけれど想像することで当事者の苦しみや悲しみを同じように感じてあげられることはできるという。)

☆☆☆☆

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