津本陽『泥の蝶』を読む。

津本陽作品。時代物ばかりかと眺めてたら戦争物が。インパールという言葉に魅かれて

借りてみた。91歳ぐらいだから作者も戦争には関わっているだろうが主には聞き取り

らしい。インパール作戦の悲惨は見えるのだが地図くらいは掲載して欲しかったなあ。

『泥の蝶』副題「インパール戦線死の断章」という。

日本軍が米英に宣戦布告してビルマ戦線の状況が比較的戦果をあげてよかったのは

1年ぐらいという。その後は制空権を奪われ奥地に向けて死の行進がはじまった。象や虎や蛭や蚊や雨期と乾期がある過酷な自然と豊富な武器弾薬の英・インド・中国の連合相手に次第に消耗していく兵士たち。しかも「上官の命令は朕の命令」という日本軍の縛り。日本軍が強かったのは命を惜しまない特高精神だけであったらしい。

15万人の兵士を投入して12万人が死んだという。死者80%という悲惨な戦争で

あったという。日露戦争から続いた軍部幹部の頭の構造が多くの兵士を無駄死に追い込んだ戦争が描かれている。

☆☆

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