#津本陽『焼刃のにおい』を読む。

津本陽作品。久しぶりに津本作品を読む。1929年生まれ、和歌山生まれ、東北大卒

歴史小説の本多数。この本は作者の故郷の和歌山藩明治維新にどう関わったかが描かれる。

『焼刃のにおい』

明治維新前はどこの藩も戦のない序列に従って安穏に生きてきた藩の上士たち。

和歌山もそうだったが北畠道龍は寺の坊主だが武芸にすぐれ世間の騒がしさを感じて

漁師や浜子たちを集めて軍隊を組織しようとした。それに応じたのが長右衛門たちである。中でも武芸に天賦のものを持っていたのが長右衛門であった。鍛えるほどに強くなり法福寺隊として藩でも認められ人数も集まり戦いになっても古く臆病な武士たちよりも重宝されていく。長州征伐や大阪の見回り、長崎へ行く上司の護衛などで活躍するのだが長崎へ武器買い付けに行く際に船明光丸が坂本龍馬の乗る伊呂波丸と衝突する。

伊呂波丸が悪いのだが龍馬たちは詭弁を用いて自分たちの非を認めず逆に莫大な

賠償金を取ろうとする。生き証人の男が殺されて長右衛門たちは京に潜む龍馬を暗殺しようと立ち上がる。そして近江屋へ・・・。

(龍馬や後藤象二郎らの維新での権謀術策がすごいものであった一端が見えて面白い。

最後が長右衛門は死の稼業から足を洗って商人で女と身を建てる話がいい。)

☆☆☆

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