熊谷達也『希望の海』を読む。

熊谷達也作品。好きな作家だ。以前に読んだような気がするが気だけか・・・。

故郷に愛情をもっているのが見えるような作家。この本も東北大震災の前と後の人々の暮らしが優しく描かれている。仙河海叙景との副題の通り仙河海近辺の風景が・・。

『希望の海』仙河海叙景

高校で陸上をやり実業団にはいって駅伝で活躍したがスナックをやっている母の病気で故郷の仙河海市に帰って店を切り盛りする希。

水産加工の会社に勤めDVまがいの妻と小さい子を抱えながら故郷の好きな悟志。

両親ともに教師だけれど父の浮気で家庭破綻の危機にある進学を前にした優人兄妹。

市役所につとめ嫁の心配する親がいるが希に恋するが打ち明けられない真哉。

認知症の夫を施設に入れて孫からの便りを楽しみに生きる清子おばあちゃん。

ミニ四駆の製作が趣味だが友達たちからいじめを受けている昂樹君。

卒業間近で夫婦の離婚騒動で家をでてひとり住まいを考える幸子。

そして東北大震災。

両親・妹を失って仮設にくらして「ラッツォクの灯」をたいて会いたいという翔平。

母を失い良心の呵責に苛まれながら友たちの支援でまた走り出す希。

いろいろな思いを持ちながら再出発しようとする人たちに温かい目で描かれる。

☆☆☆

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