伊坂幸太郎『逆ソクラテス』を読む。

伊坂幸太郎作品。千葉県松戸市出身。52歳。10年温めていた作品という。柔らかい立ち上がりから生徒たちへ経験や先入観で生徒たちの心を痛めていく先生や大人たちの言葉。それに痛快な反撃をする生徒たちの行動が面白い話。高齢者の自分が読んでも面白い。作家ってすごいねえ。5編の短編が収録。

『逆ソクラテス

担任の久留米先生の言葉で一人の生徒が生徒たちからあだ名を付けられ委縮していた草壁。東北から転校してきた安斎はそれが気になって普通の生徒の友達加賀といいとこの女の子で美人で優秀な注目の佐久間と話し合って先生のそんな姿勢を正そうと・・・。

まずは成績の良くない草壁にいい点を取らせて先生に見直させるカンニング作戦。次には評価の難しい絵画で本物の画家の抽象画と草壁の絵を取り換えて提出作戦。そして最後にプロ野球の選手が学校にきて手ほどきする機会を捉えてプロ選手に草壁を褒めてもらう作戦。これらでソクラテスが「自分はなにも知らない、だが何もしらないことを知ってるだけまだマシだ。」と言ったというが先入観や主観だけで物事を決めつける先生のやり方を正そうとした。

「スロウはない」ではクラス対抗リレーに足が遅くて運動会が大嫌いな生徒が抽選で選ばれた話だ。その中で担任の磯勘先生がいう。「小学生でモテるのは足が速い子・中学でモテるのは面白い子・高校でモテるのはオシャレな子・大人になってモテるのはお金持ち。だけど最後に勝つのは威張らないヤツ。」という。おもしろい。他3編。

(文庫版出版記念のインタビューが最後に載ってるがそれも面白い。)

☆☆☆☆

 

(教師期待効果というのがあるという。先生が期待する生徒は伸びるという。逆もあるという。その他4編が収められているが「スロウではない」