櫛木理宇『虎を追う』を読む。

櫛木作品。新潟県出身。19回ホラー大賞読者賞・すばる新人賞を受賞した作家。

初めての作家。だんだん迫力を増していく構成で面白い。

『虎を追う』

北箕辺郡で連続少女殺人事件が起こった。残虐な猥褻行為の上に殺害された。2人の犯罪として死刑が確定したのだが再審請求を何度かしたのだが棄却されそのうちに主犯と思われる男が死んだ。事件当時直接の捜査はしていないが中枢にいて定年退職した男星野誠司は30年経って犯人が死んだのに感慨を覚えて当時納得いかなかった部分を解明しようと立ち上がる。孫(旭)とその友達(哲)というITに強い若者と友達のジャーナリスト(小野田)などの協力でネットを使って世論に問いかけていくうちに冤罪なのではという感触を強めていく。事件の12年後に起きた未解決少女殺人事件も未解決で同一犯人ではないかと疑う。真犯人は顕示欲の強い捜査をあざ笑い「虎」という名でメディアに遺留品を送りつけてくる。そしてまた大胆に少女を誘拐する事件が起きネットに流した手口を解析して真犯人を追い詰める・・・。

(結局当時の警察の捜査指揮をしたものが栄誉のために杜撰な思い込み捜査で冤罪をつくってしまったのだ。死刑判決を受けたふたりは残虐な犯罪を犯すような男たちではなかったが病気と生い立ちが真犯人に利用された事件であった。)

☆☆☆