湊かなえ作品。作家にもいろいろな作家がいる。優しさが溢れる作家、しっかりした構成の作家、テンポのいい作家、なんとなく気に入る作家などなど。湊作品は力強いしっかりした構成で作品をつくる作家なのかなと。
『落日』
ピアノ天才的才能があると育てられた姉を持つ千尋。大きくなって脚本家の卵に。
幼いころ勉強などができないと母からアパートのベランダに放置された香。大人になって注目の映画監督に。共に笹塚町にかって住んでいた。その町でかって「笹塚町一家殺人事件」という衝撃的事件が起こっていた。この事件を映画化する動きのなかで・・。
ベランダに放置された香は隣の防火壁から差し伸べられた幼い手に生きる力をもらった。その手を探すべく香は千尋に脚本を依頼するのだが実は殺人事件の犯人がその手であり、その引きこもりの犯人はピアノの天才といわれた千尋の姉は犯人と付き合っていてその頃に交通事故で不慮の死を遂げていた。香に冷たくベランダに放置したのは父の自殺されたと思っていた母のせいだったと思っていたのだが父の死は事故・・。
（事実とは現象であり真実とは取り巻く人たちが色づけしたもの。自殺とは。殺人犯とは。殺人の裏に潜むもろもろの心象・愛憎。ピアノの天才の姉は欧州に留学中としてずっと死後も生かし続ける設定もおもしろい。）
☆☆☆
