重松清作品。平成12年の作品だけどテーマは重い。3篇の短編が収録されてる。
「カカシの夏休み」と「ライオン先生」は教師が主人公であり「未来」は子供の自殺がテーマになっているから今の時代でも同じ問題が起こっている。
『カカシの夏休み』
祖父が町長だった時に祖父が先頭になってダム建設を進めて町はダムの底に沈んだ。
同級生たちの中には補償金をめぐっていろんな人生をおくることになった。小谷先生の生徒の中にすぐキレて授業も受けない生徒がいた。見守る先生にあだ名を「カカシ」と生徒は名付けた。同級生のなかにタクシーの運転手になって事故を起こして死んだ人がでた。同級生が4人が葬式に。沈んだ町に思いを馳せる。日照りでダムが干上がりそうになって町を見に行こうと・・・・。
『ライオン先生』
教え子と結婚した熱血先生。若くして妻を亡くしその上若くしてカツラに。かくして熱血なのだが娘がプチ整形をしたいと。本来の姿を変えるなと説得するのだが娘にカツラはどうなのと言われて・・・。不登校の生徒がひとり。電話をかけ家を訪問する。父が大企業に勤めていたのだがリストラで職を失い酒に塗れる日々。子供は学ぶ意欲を失った。それでも熱血先生は・・・・・・。
『未来』
姉のところに電話してきて「死ぬと」関係ない人だから「死ねば」と。そして死んだ。姉は「人殺し」といわれ精神的に参って次の学校にいくこともできず精神科医に通う。
精神科医は日記か手紙を書くようすすめる。
弟の教室で弟の名ざしでいじめられたから死ぬと遺書に書いて自殺した。マスコミや父兄や遺族や近所からバッシングに会う。実際はクラス全員にひとりひとりに実名の遺書を書いていたことが判明するのだが弟は夜中に自殺した友の元へ焼香に・・・。
(現在でもいじめで自殺ということがある。いじめは誰がということは少ない。信頼してた人にいじめられることが一番きついのだろう。いじめの量でないことのほうが多い。その意味ではいじめで自殺した時の解決の難しさは相当なものだ。重松作品はやさしさいっぱいだ。)
☆☆☆