重松作品はやさしさ・あたたかさに溢れている。
今回の作品は2009年初版。いじめがテーマなのだが
いじめ自殺について今日ほど裁判などが一般的でないころだ。
裁判と関係なしに被害者・加害者の心模様が描かれる。
教育関係者も読んでる本だと思うが・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
「十字架」
子供のころは遊んでいた男の子がクラスの主に3人にいじめられて
自分の家の柿の木に紐をかけて自殺する。家族は気が付かなかった。
遺書を残していた。子供の時は遊んだ裕君には「親友になってありがとう」
片思いの小百合さんには「迷惑かけてごめんなさい」そしていじめた
3人のうち二人には「永遠に許さない。呪ってやる、地獄におちろ」と。
裕君も小百合さんも親友でもなく恋人でもなかった。ただクラスの
仲間と同じようにいじめを見ていただけだった。
見殺しにしたという十字架を背負いながら裕君と小百合さんは
否応なく成長していく自分に戸惑いながらも自殺した子の両親と
誠実に対応していく話だ。
☆☆☆☆
