麻野涼「誤審」を読む。

  作家 麻野涼は初めて読む作家だ。選択の基準は手がそこにいっただけ。
  1950年生まれというから68歳か。
  「誤審」
  普通の農家で普通に生活していた人が殺人犯で逮捕された。
  近くの富裕な農家の主人と不倫の噂のある妻が殺されたのだ。
  一貫して無実を主張していた。15年刑期をつとめてやっと再審が認められた。
  子供が4人いた。長女祐美・次女靖子・三女典子・長男芳男だ。
  学校を出ると長女は行方不明、次女は自殺した。三女は看護師に、
  長男は長距離運転手になった。両親が亡くなってから三女典子は緩和ケア
  の看護責任者になったとき箱崎という癌患者で元教師が入院してきた。
  寝言でうめき声とともに「ゆみ」と「みさこ」という事件に絡む名前が
  でてきて典子は箱崎に取り入って調査をはじめる。時効はとっくに過ぎていた。
  箱崎は教師として生徒の弱みをにぎると暴行を重ねる悪徳教師だった。
  かって暴行を受けて介護士になった奈央と協力して酸素ボンベがなければ
  生活できないほど弱った箱崎に復讐と殺人事件の解明をしようとする。
  生かさず殺さず介護していると箱崎はついに告白する。
  殺人事件は被害者との関係は認めたが殺人犯は別にいると。
  そしてなんと殺人犯は・・・・・・。弱った箱崎は彼女に口を封じられる。

  殺人犯の子の悲惨さ、看護師という立場を利用した復讐、ひどい性癖を
  もつ教師、被害者と犯人の人間関係など一気に読める276頁。
イメージ 1