鳥越碧『わが夫 啄木』を読む。

鳥越碧作品。新島八重漱石の妻や日野富子などを描いてきた作家。今回は啄木の妻節子さんだ。石川啄木を支えた妻節子さん。今は一家で函館立待岬に眠る。

この本を読んだら誰もが自分はまだ貧乏とはいえないなと思わせる。それほど壮絶な借金生活と家族の重圧のなかでもがいた石川啄木と妻節子の生き様が見える本だ。

歌集「一握の砂」や「悲しき玩具」はよく知られるが著名と生活苦のギャップが凄い。

『わが夫 啄木』

14歳で啄木の純粋さと集中力と文学の夢に夢中になり結婚生活はわずか7年。

たった7年の間に渋民村・函館・小樽・札幌・釧路・渋民村・東京と啄木は文学者になるべく・小説を描いて生活を安定させるべく、妻・長女・両親・妹を養うべくもがき続ける。神童といわれ天才といわれ自分も誰よりも先を行く文学者になれるという自信をもっていたのだけれどどこに勤めても仕事は優秀でも文学という夢が頭がもたげて長続きしない結果に借金生活を続けるのだが長男啄木に寄り掛かる家族の存在がさらに苦境に陥れる。宮崎郁雨や金田一や鉄幹や牧水や新聞社の社長などに恵まれてかろうじて

27歳まで生き延びたのだが・・・・。節子は姑カツとの確執・郁雨との想い・子真一の死など金銭以外の苦労に啄木との愛も色あせていくのだが・・・・・・。

(啄木の歌は多くの人の心をうつ。しかし家計の足しにはならない悲劇。小説を描いてお金にしようとしても出版社から受け付けてもらえない。文学者とは大変だ。)

☆☆☆

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