#諸田玲子『氷葬』を読む。

諸田玲子作品。時代小説多数。吉川英治文学新人賞新田次郎文学賞など多数。

初めて読む作家。この小説は時代ミステリー小説のような作品か。

『氷葬』

江戸詰めの藩士に嫁いだ「芙佐」と側に仕える「お初」が出会う数奇な運命に女性として力強く立ち向かう姿を描いた作品。

時は明和の頃夫は江戸詰め、芙佐は出産のために実家近くの知り合いの家。夫は仕事についても何も言わない人で家が決めた結婚であった。

あるとき風采の上がらぬ追われているという男が訪ねてきて夫の知り合いとなのり夫へ書物を送って欲しいと。夫の知り合いということで一泊させるのだがその夜芙佐は凌辱される。翌朝でかけるのだが襲われて瀕死の重傷で助けられて戻ってくる。介抱するふりをして殺してしまう。お初と共謀で沼に落として始末するのだが・・・・。それが藩のお家騒動や天下の大事に巻き込まれてしまう。家名や武家の妻・母や殺人犯などの思いが交差するなかでどんどん深みにはまっていく。

(女性とは不思議なものでそんな時でも敵か味方か分からぬ目付十右衛門に想いを寄せている彼女であった。表題は殺人を犯して沼に落とした死体が凍ってすべてがなくなってほしいという願いなのだろう。)

☆☆☆

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