重松清作品は優しくて泣かせどころをよく知ってるなあと思う。
この本は4編の親子・夫婦の短編を集めた本。
「まゆみのマーチ」
歌の大好きな娘で学校にあがっても授業中にでも歌を歌ってる問題児。
兄は完璧な秀才で将来を嘱望されるような子。そんな娘を怒りもせず
優しく見守る母であった。兄が結婚してできた子供が有名私立中に
入ろうと勉強するのだが突然学校に行けなくなる。母の優しさがやっと・・・。
母親とは。子どもへの愛情とは。
「あおげば尊し」
歌にでてくる「尊し我が師の恩」にふさわしい厳格な教師だった父。
子である「僕」も先生になるのだが現代的に父の教育方針に抵抗感をもつ。
死に興味を持つ生徒がいて死の床にある父に生徒に死の実地教育をさせる。
生徒は父の最後の生徒になる。教師とは。死とは。親とは。
「卒業」
親友の娘が訪ねてくる。娘の父は子が母のお腹にいる時に自殺していた。
どんな父だったのか知りたいのだ。母は子供がお腹にいたのに自殺した父に
こだわりがあり優しい人と結婚して飲食店をふたりで経営しやさしいパパ
なのだが・・。自分も親友がなぜ死んだのか疑問におもって娘に協力する。
父とはなんなのだろう。
「追伸」
6歳でガンで母を亡くした少年。母は子供敬一を愛し日記をつけ天国で見守る
と記して遺した母。父は再婚するが敬一は継母に懐くことなく小説家になる。
出版社の企画でおふくろさんついての連載企画で継母ではなく愛する実母
の架空の生きざまを描く。実母の残した日記の最後に「追伸ー敬一君私も
天国に行ってからもずっと敬一君の母親です。」と記す。歳とともに確執も消えた。
実母と継母とは。
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