櫛木理宇『避雷針の夏』を読む。

櫛木作品。この作家を読むのは2作目。避雷針というのは建物を雷から避けるという意味で実際は受雷針だという。この本は閉鎖的な町である一家を避雷針のようにすべての悪いことをその一家に負わせることで自分たちは安心するという目にあった家族の話。

子供のいじめもそうだが大なり小なり誰もがどこでもありうる話が本になってる。

『避雷針の夏』

睦間町という町で子供のころに暴力的な目立つ生徒源田と容姿の抜群の女の子にモテモテの生徒倉本がいた。その前者と結婚したのが真保美と後者とは郁枝という同級生だった。

真保美は学校時代から夫について歩いて悪のかぎりを尽くしていたが心では郁枝の夫に心を寄せていた。郁枝の夫は暴力的なワルで同居していた実母も嘆くほどでついには実母と孫とで計画的に殺害する。町では郁枝が殺したと噂をしよそ者だからと何事も悪いことがあれば倉本家のせいにした。そんな町に塾経営の同級生の招聘で梅宮という一家が塾先生として移り住んでくる。やり直しをはかった移住であったがいっしょに住んだ姑との嫁姑関係がひどいもので梅宮は逃げてばかりで娘にも愛想をつかされ嫁はうつ病に。町は源田と船江という派で分かれ争う町であり噂があっという間に拡がる。噂が広まればあっという間に潰される町だから人々は汲汲としていた。睦間町は年に一度の夏まつりが盛んであった。喧嘩祭り。その夜、倉本の娘と梅宮の娘はある思いを胸に山の上から祭りを眺めていた・・・・・。

(閉鎖的な村八分も起こる町。そこで起こる嫁姑・介護・無関心な男たち。職場でも都会でも起こりうる問題。こんな本を読むと男ってバカで弱いものだなあ。)

☆☆☆