河崎秋子『土に贖う』を読む

北海道出身の作家の河崎作品は読むのは2冊目かなあ。今回のは短編集だ。しかし中身は北海道のかっての骨だったものの行く末が主に描かれているのだろう。例えば養蚕やミンクやハッカや羽毛などがそれに取りつかれた人たちとともに描かれている。

『土に贖う』(土にあがなう)

「蛹の家」はかって札幌の一角でも養蚕が行われていた。桑を育て蚕の餌として繭をとってヒトエは父のそんな姿を見て育ったが人造繊維の普及とともに廃れた。桑園という名だけが残っているという。

「頸、冷える」は野付半島の町でかってミンクが育てられた。孝文は腕のいいミンク飼育者といわれたのだが毛皮の時代の衰退で破綻していった。その場所を修平は・・。

「翠に蔓延る」は北見はハッカの生産に力をいれてかっては世界1と言われたという。

いまでは北見の名産品として細々と親しまれているという。

「南北海鳥異聞」は弥平は南の島でアホードリを撲殺して羽毛をとる仕事をしていた。いつか仕事がなくなり北海道に渡って鶴の羽毛をとろうと・・。しかし鶴に反撃される

「うまねむる」は江別で馬の装蹄所をやってる陽一を父に持つ雄一。父は腕のいい装蹄師だった。学校の畑起こしに借りた馬が足の骨を折って死んだ。馬の貸主は・・。

「土に贖う」は吉正はレンガ工場の頭目になった。使われてるほうが性に会ったが・・。従業員が過酷な労働で死んだ。葬式に出るとその母から帰れといわれる・・。

「温む骨」は拓銀の破綻で失業した光義は陶芸を仕事にお客の注文には好評だが・・。

野幌粘土に挑戦して新境地を開く。

(北海道の過去に目が開かされる)

☆☆☆