宮内悠介『盤上の夜』を読む。

宮内作品。43歳・東京出身・早稲田大学。推理作家と紹介されるが初めて読む。

囲碁や将棋や麻雀などの対局に関わる人たちの生きざまなどを6編の短編で描く。

『盤上の夜』

「盤上の夜」は中国で手足がない女の子が馬という賭碁師に買い取られて連れまわされる中で囲碁を覚えその子は相田という日本のプロ棋士に認められ日本の碁界で不思議な力を発揮して頂点まで上り詰めるが・・・。

「人間の王」はチェッカーというチェスより単純なゲームで42年間無敗のティンズリーという男。コンピューターが完全解を完成し男はやっと強い相手ができたと・・・。

「清められた卓」は公式の麻雀大会の決勝でアマ3人・プロ1人で開催された。子供・シャーマンと言われる女性・女性を追いかけて決勝まできた男・そしてプロ。それぞれ個性的な4人が卓を囲む。運・流れ・駆け引きなどを駆使してどうなる?

「象を飛ばした王子」はチェスや将棋の元とも言われる古代インドでできたチャトランガーという盤上遊戯。これを考えた強国に囲まれた国の王子の父は王を捨て出家して釈尊となっていた。王子は国の民を救うべく遊具が戦さに変わって末永く役立たないか。

「千年の虚空」は北海道の孤児院から引き取られた兄弟と娘の3人が小さい頃から性的享楽しながら一緒に生活する。兄弟は将棋の才があり奨励会で腕を磨くが兄は政治家に転身、弟はプロ棋士として頂点へ。兄はゲームを殺すゲームを作ろうと・・。

「原爆の局」は広島の原爆投下の日に打たれた囲碁対局で多くの人は亡くなったが対局は対局場は半壊したが場所を変えて打ち継がれたという。

囲碁や将棋は実力と運はどれほどか。コンピューターが出てきて完全解もでるようになって棋士はどうなのか。打つのも人間、プログラムを作るのも人間。結局は。)

☆☆☆