小野寺史宜『まち』を読む。

小野寺史宜(ふみのり)作品。始めての作家。千葉県生まれ。法政大文学部卒。素直で優しい文章で落ち着く文章。しかもじいちゃんに育てられた優しい若者の話である。

『まち』

主人公江藤瞬一は尾瀬の近くで歩荷をして生計を立てるお祖父ちゃんに育てられた。歩荷とは山小屋に荷物を背負い運ぶことが仕事。瞬一の父母は3歳のとき不慮の火事で瞬一を助けに戻ったために父母は焼け死んだという。それ以来祖父に育てられた。祖父は高校卒業する瞬一に「まち」にでて「ひと」にたくさん会って人生を決めろと。

東京にでた瞬一は最初はコンビニで次に引っ越しのバイトで生活をする。アパートの隣の部屋には母子、下には2軒のいい人が入居している。一度だけじいちゃんが東京の部屋に顔を見に来たといってやってきた。隣の敦美母子に虫の駆除だとか別れた夫の嫌がらせなどに関わっているうちに年上だが好きになっていく。

それからまもなくじいちゃんは死んだ。ガンを黙っていたという。

瞬一は敦美と話していくうちになりたいものを見つけた。消防士だ。

(じいちゃんは瞬一に人に頼る人ではなく頼られる人になれと言い残した。)

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