湊かなえ「ポイズンドーター・ホーリーマザー」を読む

湊かなえ作品。女の子と母親の関係はいろんな複雑な関係があるようだ。この本は6篇の短編を通して湊かなえさんらしい鋭い感情の機微を捉えて読む人を離さない。

『ポイズンドーター・ホーリーマザー』

「マイディアレスト」では6歳違いの姉妹(私淑子と有紗)母親が姉には厳しく妹に甘く育てるという傾向はあるが妊娠した妹にもバカにされてついには角材を打ち下ろす。

「ベストフレンド」は脚本家を目指す漣涼香・大豆生田薫子はある脚本新人賞に応募して大豆生田が最優秀賞・漣が優秀賞を受賞した。審査では漣が断然良かったのだが大家のゴリ押しで大豆生田が最優秀賞に決まったという。その後の人生は大豆生田の順風で漣は頑張っても頑張っても・・・。ついには憎しみも・・。

「罪深き女」は女手一つで育てられた天野幸奈。母は誰にも後ろ指を指されまいと厳しく厳しく育てていた。同じアパートに来た正幸君が住むように。働いている母のために一人ぼっちの正幸君に何かあれば頼りになる自分でいたいと・・・。しかし結果として裏切ってしまった。絶望した正幸君は店で刃物を振り回して15人殺傷・・・。

「優しい人」は公園の広場で奥山さんが殺されていた。犯人は優しい人になるように育てたのだが・・。同じクラスの友がゲロを吐くのを率先して掃除するような女の子だったが・・。

「ポイズンドーター」は野上里穂と弓香は友達。弓香は女優の道へ、里穂は結婚。

弓香は厳しく母に育てられたが最後に叛旗をかざしたのだ。私は毒親に育てられたと。

ホーリーマザー」は誰もが親は子の幸せを願って育てる。弓香は母を毒親といったけれど周りの母は弓香の母は一生懸命子のためになるように育てたと・・・。弓香が女優になった時には喜んでいたのに・・・・。子から毒親と。

(親は子のためになるようにと一生懸命育てるのだけれど子は子なりに育っていくから親と子が噛み合わない場合ができて不幸が始まる場合が多い。それが人生。)

☆☆☆

 

「ポイズンドーター」は