あさのあつこ『雲の果』を読む

あさのあつこ作品。「鬼を待つ」を読んでこの作家の時代物は読みやすく面白いと思って次に選んだこの作品。これも面白い。弥勒シリーズというらしい。とにかく登場人物の姿が明確だ。同心小暮信次郎・岡っ引き伊佐治・遠野屋主人清之介。柱がはっきりしているから絵を描きやすいのだろう。

『雲の果』(くものはたて)

仕舞屋で若い女が焼かれ殺されていた。変わった帯の端切れが焼け残っていた。手がかりのない中で女の姿を絵師が描いていた。遠野屋の死んだ大番頭喜之助の残した風呂敷に入っていた帯、喜之助の出生の秘密を調べると羽馬藩という北の小藩で織られたものだと。そんなこんなを組み合わせていくとお芳という阿波屋の女主にたどり着いた。

お芳は羽馬藩の秘密の強盗団の一味だった。信次郎が筋書が見えたのだ。

(やっぱり作家というのはすごいなあ。言葉を扱うプロなんだなあ。)

☆☆☆