朝井まかて『草々不一』を読む。

朝井まかて作品。今回は8編の短編が収録されてる。短編はいいなあ。余韻もあって。

「草々不一」とは手紙の末尾に記される「前略・・・草草」の意なのだが不一はよろしく汲み取りくださいという意のことという。朝井まかて作品は題名が面白いなあ。

『草々不一』

「紛物」は田舎から出てきた勤番侍たちが牢人に言いがかりをつけて半殺しにした。

座敷勤めの(ふく)という女のところに転がり込んで泰平の浪人信次郎が見ていた。

助太刀を頼まれて断ったのだが家まで来た。家に上げて話をすると因縁の藩の者。

「青雲」は新吉という空樽を集める小僧がしょんなことから武家に舞い戻ってお役を得るべく組頭屋敷を回る信吾は後に樽集めでぶつかった武士と偶然の出会いをする話。

「蓬莱」は武家の次男で部屋住みの平九郎は馬術が得意で馬場通いをしていた。

格上の家から婿養子の口がかかった。たっての希望という。娘に何か問題が・・・。

「一汁五菜」は江戸城の大奥の台所人の伊織は休みの時は町場の料理屋で内職していたがあるときそこに大店の主人の指名で声がかかった。難題を頼まれるが・・・。

「妻の一分」は赤穂浪士の内蔵助の妻りくの一分を飼い犬から見た話を描いた。

「落猿」は藩の江戸留守居役は聞役という各藩の聞役が集まって情報交換しながらスムーズに仕事が成り立っている。部下が問題を起こした・・・。

春天」は剣術道場の剣術も強い娘が修行に来た武蔵の流れを汲む二刀流の数馬という若者に恋をする話。

「草々不一」は武術一辺倒の御徒の武士が愛妻を麻疹で亡くす。家督を息子に譲った後だった。妻は遺書を残していた。しかし武辺一辺倒の男は字を読めなかった。

息子に読んでもらうのも癪だった。子らに混じって手習いを・・。やっと読んで読んでみると・・・・。

(草々不一は涙がでそうなほどいい話。歳をとっても何であれ学ぶことの大事さ。)

☆☆☆