仲村燈『桎梏の雪』を読む

仲村燈作品。1982年奈良県生まれ。初めて出会う作家。この本で小説現代新人奨励賞を得た作品という。江戸時代の将棋の世界に住む人たちが描かれている。将棋という狭い話で読み始めは無理かなと思ったけれど徐々に引き込まれた。特に江戸の将棋界で女性ながら屈指の腕を持ちながら女性故に名人にはなれない弦女・・。

『桎梏の雪』

江戸時代には幕府に認められた将棋家が3家。大橋本家・大橋分家・ 伊藤家である。

伊藤家の6代目宗看(鬼宗)十世名人・伊藤家の当主・大橋本家は十一代宗金5段目・大橋分家は7代宗与6段目。なかなか決まり事があって昇段も難しいが

大橋分家は宗与が養子にした英俊と弦という兄妹がいて8代目候補なのだが宗与の嫡子の鐐英に期待をかけ弦が指導に当たるのだが先代が優秀で宗与は鐐英にただただ見習ってほしいと思っている。本家の同じぐらいの子留次郎も神童といわれる子で鐐英とは仲がいい。伊藤家の跡取り6段目の看佐が借金などで首を吊る。みんながショックを受ける中で将軍が対戦をみる上覧対局が英俊は力のかぎりを尽くしたが・・・・・。

将棋家は実力だけでなく政治力も指導力もいろいろあって英俊と弦は京に上る・・・。

(将棋家の内紛やら英俊が暴行を受けるなどのミステリーもいろいろ。弦は京で巷で金を得る将棋師を目指すことに。)

☆☆☆