朝井リョウ『スター』を読む。

朝井リョウ作品。読むのは2作目。面白い。いろいろ考えさせてくれる。学生時代に下宿で酒を飲みながら友たちとわいわい議論したことなあと。ネット時代の考え方も高齢者には参考になる。さすが直木賞作家。

『スター』

学校のサークルで出会った映画好きの尚悟と紘が映画を作って賞をもらう。ふたりは将来の有名監督にと嘱望される。尚悟は細部に拘る有名監督鐘ヶ江の下で監督補助に。紘はジムの磨かれていく要というボクサーの絵を動画配信するネットの道へ。

異なる道を歩きながらいろいろ藻搔きながら作り手の心が大事という点でまたお互いに寄っていく。監督もまたもがいていた。

いろんな語録が面白い。「(ネットで)消費者が対価としているのはお金じゃなくて時間」「監督はないものをあるように見せない人」「かっては有名になるだけでは対価が発生しないというのは秩序であった。」「作り手は感性を磨く作業を怠ってはいけない」「いままでなれない人もスターになれる時代」「すばらしいものは越境する」などなど。

(今のネットのある時代に生きて幸せなのか。ネットのない時代に生きた自分たちが幸せなのか。いつの時代でも生きているし生きていく。スターを作りながら。)

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