仁志耕一郎『とんぼさま』を読む。

仁志作品。プーチン大統領に是非読んでほしい本だ。仁志作品はほんの2作目だがやっぱり時代物の本はスマホもない時代だからこころ中心に突き詰められている。

『とんぼさま』

松本平の守護大名の家に生まれた小笠原長時。父はよく国衆や地元豪族たちにを束ね信頼も厚く人を引き付ける人柄の男だった。長時は武術は優れていたが優しい男であった。父は「糾法」という礼法を書いた家宝の奥義書を残し代々伝えるように遺言して急死する。長時が宗家の長として家来国衆たちを束ねようとしても誰もついてこない。時は戦国。武田勢の覇道といわれる勢いに城は次々奪われ裏切りが横行してついに村上義清長尾景虎などを頼り身を寄せたりするがついには松本平を捨てざるを得ない羽目に。兜のトンボの形に「極楽とんぼ」と酷評されるほど。高僧に教えを乞うと欲だけで武力でおさえるのを覇道といい礼でいきていくのを王道といい。覇道は結局武で進むものは武で倒される、人を尊び、礼をつくしていくことが人の道であり人を束ねるのもその道しかないと。出家し奥義書の礼法を広める生き方を長時はやっと悟っていく。そんな時に徳川家康の時代になり息子が松本平の領主となって長時を迎えにくるのだが・・・。

(武力では人はついていかない。礼をつくし人を敬い・命を大切にすることが一番と長時は教える。どんな苦境でも命がある間は天命があるということ。簡単に命を捨ててはいけないということを長時は教える。)

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