#宮部みゆき『きたきた捕物帖』を読む

宮部みゆき作品。表紙や挿絵がやわらかな捕物帳話。題名もまたベタだ。

本物の岡っ引きの捕物の話ではなく一番下の子分のきたさんと呼ばれる北一の苦闘の話だがもうひとりの得たいのしれない喜多次といいきたさんと呼ばれる若者とのコンビで難問を解決することで「きたきた捕物帖」という題名だ。4話が収録されてる。

『きたきた捕物帖』

1話の「ふぐと福笑い」文庫屋と岡っ引きの2足の草鞋をはく千吉親分は優れた・人望も厚い親分なのだが突然フグにあたって死んでしまう。十手は返上して子分もいなくなるが文庫屋だけは一番弟子にゆずられ北一も文庫の棒振りでなんとか食いつなぐ。

福笑いで遊んでいた子供がやけどをしたりでこの福笑いは呪いの福笑いという因縁のあるものだった。目の不自由な親分の女将が目の悪いことを利用して正しい眼鼻をつけて呪いを解決するという話。

「双六神隠し」は子供たちが双六したらひとりの子供は神隠しのようにいなくなった。

子供たちの知恵で空き樽運びを利用した神隠しだ。北一が頭を働かせる。

「だんまり用心棒」はお金持ちのドラ息子が小さい店の気立てのいい娘に言いよって妊娠させた。ドラ息子は自分のせいではなく結婚もしないという。北一は用心棒として立ち会う。

「冥途の花嫁」は店主に後妻に入る話がまとまって引き出物に北一の文庫を贈ることに決まったのだがなんと先妻の生まれ変わりという女が現れて結婚したいという。

店主は愛していた先妻だったので気持ちがぐらつくのだが怪しいと思った北一たちはその陰謀を喜多次や女将さんとともに暴く話。

(差配人の富勘・千吉親分のおかみさん・武家屋敷の用心棒の新兵衛・風呂焚きの喜多次・北一などの主役・脇役たちの人の良さが微笑ましい。)

☆☆☆

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