筒井康隆「聖痕」を読む。

筒井康隆氏の2013年の作品という。

筒井氏の作品にはいつも驚かされる。テーマが大胆だ。SFの発想なのだろう。

この本は欲望の元を取ったらどう生きるのかということでキリストの十字架の

罪ということを意識して書いたのだろうか。(そんな気がした。)

筒井氏独自の言葉や枕詞を使い、それに脚注をつけるという手が込んでる。

「聖痕」

  幼年の時に幼児愛の激しい暴漢に性器を切り取られた葉月貴夫は裕福で

  超美男に生まれたのだ。親たちは家名や商売や貴夫の将来のために事件を

  秘匿する。そのため貴夫は中性的で女性などに興味をもたない人に育つが

  生まれながらの美しさで学校でもどこでも女性からまとわりつかれ、男色の

  男からも付け狙われるのだが東大農学部を出て食品業者に勤め、食材への

  興味から料理の腕も抜群で店をもち大繁昌もする・・・。

  東北地震の際の東北へのボラに行ったときに幼児の時の暴漢を見つける。

  暴漢は謝罪するのだが貴夫は失ったおかげで人生が変わって幸せだったとして

  ホルマリン漬けされた失ったものだけを求めて許してやる。

  「贖罪羊スケープゴート」それは何かと聞かれて答える貴夫だ。

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