折口真喜子『月虹の夜市』を読む。

折口真喜子作品。3冊目だが図書館には3冊しかなかった。同じような時代物の短編集で今回はあやかし話とあるように妖怪がでてくるような話。8編収録。

『月虹の夜市』(日本橋船宿あやかし話)

小正月と小僧」は箱崎の船宿の女主人お涼はかって12歳のころ猿田彦祝言を上げさせられたという噂があり妖気な力を持つ。お稲荷さんで出会った小僧は住んでいた大木が切られてそこに一緒にいた兄弟を助けようとお涼に頼んで木場まで探してもらう話。「約束」はお涼が小さい頃手習い所に通っていてそこで出会った吉弥という男が気になっていたのだが突然手習い所からいなくなって大きくなって偶然出会った時お寺の小僧になっていた。再会を約して数珠をお涼は貰った。そのおかげで・・・・。

「月虹の夜市」はお涼が蹴鞠の神様から力を授けられて高貴な人たちの蹴鞠の試合に参加する話。「月を蔵す」は船宿のお涼のところにくる綾という遊女上がりで押しかけ女房。菊江という武家の娘。菊江は商家の手代の清吉と恋仲などだが清吉が遊女に通いだして仲が壊れた。それをお涼がなんとか取り戻そうと・・・・。

常世の夜」はお涼の祖父源造の話。源造はいろいろな不幸から世の中がイヤになって山で炭焼きを生業に。山でであった志乃と一緒になって甚八を産みしばし幸せな生活だったが志乃が亡くなってその後あの世とこの世を行き来できる不思議に出会う。

「痣」はお涼にも母と同じ痣ができる話。「遠雷」はお涼が卵のような石のようなきれいなものを拾った。それがなんと雷珠といわれる雷にとって大事なものだった。

鹿屋野比売神」はお涼の船宿で働くようになった銀次の話で農家の次男坊だった銀次が質屋の丁稚になり仕事ができてのれん分けもある身になったが・・・・・。

(あやかし話がいろいろ。お涼があやかしと祝言をあげたというところからいろいろなあやかしに巻き込まれる。蕪村の話のほうが好きだなあ。)

☆☆☆